食品添加物表示のルール・原材料欄への正しい記載方法
「原材料名欄の添加物、物質名だけでいいの?用途名は必要?」——加工食品のパッケージを作る事業者から多く寄せられる疑問です。添加物の種類によって表示方法が異なり、区分や記載順序を誤ると表示のやり直しにつながることもあります。この記事では表示義務の基本から、用途名併記・一括名・スラッシュ区切り・キャリーオーバーの考え方まで解説します。
この記事でわかること
添加物表示義務の基本 / 物質名表示と用途名併記の2パターン / 原材料欄でのスラッシュ区切りルール / 一括名表示が認められる添加物一覧 / キャリーオーバーの考え方 / 記載例とよくあるミス
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添加物表示義務の概要
食品表示基準では、加工食品に使用した添加物は、原則としてすべて物質名で原材料名欄に表示することが義務付けられています。表示の際は、原材料と添加物を明確に区分したうえで、それぞれ使用した重量の割合が高いものから順に記載するのが基本です。
表示順序は、原材料を先に、添加物を後に記載するのが一般的です。サプリメントのようにほとんどが添加物で構成されている食品では、添加物を先に表示しても差し支えありません(重量順であることは変わりません)。複合原材料に添加物が使われている場合も、原則として添加物の事項欄にまとめて、重量順に表示します。
まず押さえておきたい全体像
添加物表示は「物質名表示が原則」「一部は用途名の併記が必須」「一部は一括名でまとめられる」「一定の条件下では表示不要(キャリーオーバー)」という4つの考え方の組み合わせで成り立っています。
物質名表示と用途名併記の2パターン
物質名表示
ほとんどの添加物はこちら。物質名(または簡略名・類別名)を記載するだけでよい。例:炭酸水素ナトリウム、クエン酸
物質名+用途名併記
消費者の関心が特に高い8種類の添加物が対象。用途名の後ろに括弧書きで物質名を添えて記載する
用途名併記が必要な8種類は次のとおりです。
甘味料併記必須
アセスルファムカリウム、アスパルテーム、スクラロースなど
着色料併記必須
食用赤色2号、食用黄色4号、二酸化チタンなど
保存料併記必須
安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸ナトリウムなど
増粘剤・安定剤・ゲル化剤・糊料併記必須
アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウムなど
酸化防止剤併記必須
ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソールなど
発色剤併記必須
亜硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸ナトリウム
漂白剤併記必須
亜硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、ピロ亜硫酸カリウムなど
防かび剤・防ばい剤併記必須
オルトフェニルフェノール、チアベンダゾールなど
⚠ 用途名の書き忘れに注意
「着色料(赤106)」「保存料(ソルビン酸K)」のように、用途名の後ろに物質名を括弧書きで添えるのが正しい形です。この8種類を物質名だけで表示してしまうのは、よくある表示ミスの一つです。
スラッシュ(/)区切りルール
原材料名欄では、原材料と添加物を消費者が見分けられるよう、明確に区分して表示することが求められています。区分の方法として実務上もっとも広く使われているのが、スラッシュ「/」で区切る方法です。ほかに、改行して区分する方法や、原材料名の欄とは別に「添加物」の事項欄を設ける方法も認められています。
原材料名:鶏肉、玉ねぎ、パン粉、食塩、こしょう/調味料(アミノ酸等)、pH調整剤、着色料(カラメル)
原材料をすべて書き終えた位置にスラッシュを一つ入れ、その後ろに添加物をまとめて記載します。原材料・添加物のいずれも、記載の順序は使用した重量の割合が高いものから順に並べるのが原則です。区分だけ守って順序を無視してしまうのも、表示不備の原因になるため注意しましょう。
一括名表示が認められる添加物一覧
同じような目的で使われ、日常的に使用されている添加物については、個別の物質名を表示しなくても、まとめて「一括名」で表示することが認められています。一括名で表示できるのは次の14種類です。
イーストフード
パン製造時のイーストの栄養源(塩化アンモニウム、酸化カルシウムなど)
ガムベース
チューインガムの基材(グリセリン脂肪酸エステルなど)
かんすい
中華麺用のアルカリ剤(炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなど)
苦味料
苦味を付与する添加物(香辛料抽出物を除く)
酵素
触媒作用を持ち、最終食品では失活している生物由来の酵素
香料
香りづけに使う添加物(エステル類、ケトン類など)
酸味料
酸味を付与する添加物(クエン酸、リンゴ酸、リン酸など)
軟化剤(チューインガム軟化剤)
ガムを柔軟に保つ添加物(グリセリン、D-ソルビトールなど)
調味料(アミノ酸等)
うま味などを付与する添加物(L-グルタミン酸ナトリウムなど)
豆腐用凝固剤
豆乳を固めるための添加物(塩化カルシウム、硫酸カルシウムなど)
乳化剤
水と油を均一に混ぜ合わせる添加物(グリセリン脂肪酸エステルなど)
水素イオン濃度調整剤(pH調整剤)
食品のpHを調整する添加物(クエン酸、リン酸など)
膨張剤(ベーキングパウダー)
生地を膨らませる添加物(炭酸水素ナトリウムなど)
調味料 アミノ酸 表示について
うま味調味料を使う加工食品では「調味料(アミノ酸等)」が頻出です。個々のアミノ酸の物質名を一つずつ書く必要はなく、まとめて一括名で記載できます。使用成分によって「アミノ酸等」の部分が「アミノ酸」「有機酸」などに変わることもあるため、配合内容に応じて正しい表記を選びましょう。
キャリーオーバーの考え方
添加物の表示が不要になるケースとして「キャリーオーバー」という考え方があります。原材料の製造・加工の段階では添加物が使用されているものの、最終的な食品には持ち越されず、効果を発揮するほどの量が残っていない場合に、表示を省略できる仕組みです。
該当する例
すし揚げの製造に使った豆腐用凝固剤は、調味工程を経て最終食品では効果を持たなくなるため、キャリーオーバーに該当し表示不要
該当しない例
甘味料や調味料(アミノ酸等)を含む味噌を煮物に少量使った場合、微量でも最終製品の味に影響するためキャリーオーバーに該当せず、表示が必要
⚠ 自己判断での省略は避けましょう
キャリーオーバーと似た概念に「加工助剤」(例:カステラの包装時に使う二酸化炭素など、食品中に残存しない添加物)があります。どちらも該当条件は食品や製法によって個別に判断されるため、判断に迷う場合は消費者庁のガイドラインや管轄の窓口に確認しましょう。またキャリーオーバーに該当する添加物があっても、「無添加」表示は消費者に誤認を与えるおそれがあるため認められません。
記載例(調味料・着色料・保存料)
実際の原材料名欄では、次のような形式で記載します。
原材料名:小麦粉、砂糖、卵、ショートニング、脱脂粉乳、食塩/
膨張剤、香料、乳化剤、着色料(カロテン)、保存料(ソルビン酸K)、調味料(アミノ酸等)
膨張剤・香料・乳化剤
一括名表示(個別の物質名を書かずまとめて記載できる)
着色料(カロテン)・保存料(ソルビン酸K)
用途名併記(用途名の後ろに物質名を括弧書きで記載)
調味料(アミノ酸等)
一括名表示(うま味調味料を使う場合の代表的な記載)
惣菜や漬物ならうま味調味料の「調味料(アミノ酸等)」、ハムやソーセージなら発色目的の「発色剤(亜硝酸Na)」のように、商品カテゴリーによって注意すべき添加物の種類は変わります。自社商品に配合されている添加物を一つずつ洗い出し、表示区分を整理しておくと記載ミスを防ぎやすくなります。
表示内容の判断に迷ったら
用途名併記や一括名、キャリーオーバーの該当・非該当の判断に迷う場合は、消費者庁のガイドラインや管轄の窓口に確認のうえ進めましょう。表示内容が固まったら、次はパッケージへの落とし込みです。オリジナルシール工房では、原材料名・添加物表示を含む食品ラベルを小ロットからご用意できます。
よくあるミス
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用途名併記が必要な添加物を物質名だけで表示してしまう
甘味料・着色料・保存料など8種類は、用途名の併記を忘れると表示不備になります。
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一括名で表示できる添加物を個別の物質名で羅列してしまう
かえって原材料名欄が読みにくくなります。該当する添加物は一括名でまとめるのが基本です。
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原材料と添加物の区分が曖昧なまま表示してしまう
スラッシュや改行を入れず一続きで記載すると、区分表示の趣旨に反します。
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キャリーオーバーに該当しないものまで自己判断で省略してしまう
甘味料や調味料は微量でも味に影響するとされ、キャリーオーバーとして扱えないケースが多い点に注意が必要です。
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「無添加」表示を安易に使ってしまう
キャリーオーバーや加工助剤に該当する添加物がある商品への「無添加」表示は、誤認を招くおそれがあります。
正しい表示を、
安心のラベルに
原材料名・添加物表示を含む食品パッケージ用のラベル・シールを小ロットから作成できます。オリジナルシール工房なら必要な枚数だけ手軽にご用意可能です。
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まとめ
食品添加物の表示は、物質名表示を原則としながら、用途名併記が必要な8種類、一括名表示が認められる14種類、そしてキャリーオーバーという例外的な省略の考え方が組み合わさったルールです。原材料と添加物をスラッシュなどで明確に区分し、重量順に正しく並べることも欠かせません。
自社の配合表をもとに、添加物一つひとつの表示区分を整理しておくことが、正確な表示への近道になります。表示内容が固まったら、パッケージやラベルへの落とし込みも計画的に進めましょう。
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最終更新:2026年9月 本記事は一般的な情報提供を目的としています。実際の表示内容の判断は、必ず消費者庁の最新ガイドラインや管轄の窓口にご確認ください。