栄養成分表示の義務・書き方と小規模事業者の省略規定

作成日:

栄養成分表示の義務・書き方と小規模事業者の省略規定

「加工食品には栄養成分表示が必須と聞いたけれど、うちのような小規模な事業者でも必ず表示しないといけないの?」——初めてパッケージを作る事業者さんからよく寄せられる疑問です。必須5項目の書き方や表示単位を誤ると、行政指導や表示のやり直しにつながることもあります。この記事では、栄養成分表示の義務の基本から、小規模事業者が使える省略規定、数値の算出方法まで解説します。

この記事でわかること
栄養成分表示 義務の対象となる加工食品 / 必須5項目と表示順序 / 表示単位(100gあたり・1食分)の選び方 / 小規模事業者 栄養成分 省略の条件 / 数値の算出方法(分析・計算) / 記載例とよくあるミス
関連記事 加工食品の一括表示の 書き方・記載項目を全解説

SECTION 01

栄養成分表示義務の概要

栄養成分表示は、食品表示法にもとづく「食品表示基準」によってルールが定められています。この基準では、容器包装に入れられた一般用の加工食品および添加物を販売する食品関連事業者に対して、栄養成分の量および熱量を表示することが義務付けられています。

対象になるのは、スーパーやコンビニで販売されるような包装済みの加工食品全般です。自家製の焼き菓子を個包装して販売する場合も、コンビニ向けの弁当・惣菜を製造する場合も、基本的にはこの義務の対象に含まれます。

まず押さえておきたい全体像
栄養成分表示は「原則は義務、一定の条件を満たす場合のみ省略可能」というのが基本の考え方です。すべての加工食品に一律で厳格な表示が求められるわけではなく、小規模事業者や一部の食品には後述の省略規定が用意されています。

SECTION 02

必須5項目(熱量・たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量)

栄養成分表示 義務 加工食品において、必ず表示しなければならない項目は次の5つです。表示順序もあわせて決められており、下記の並び順のとおり記載する必要があります。

熱量必須
エネルギー量。kcal(キロカロリー)で表示
たんぱく質必須
g(グラム)で表示
脂質必須
g(グラム)で表示
炭水化物必須
g(グラム)で表示
食塩相当量必須
ナトリウム量ではなく、食塩相当量に換算した数値(g)で表示
飽和脂肪酸・食物繊維任意
表示が推奨されている項目。基本5項目とは扱いが異なる
⚠ ナトリウムのまま表示するのはNG
食塩相当量は、ナトリウム量(g)に2.54を掛けて算出します。ナトリウム量をそのまま記載してしまうと基準に沿わない表示になるため注意しましょう。

SECTION 03

表示単位(100gあたり or 1食分)

栄養成分表示の書き方でつまずきやすいのが、表示単位の決め方です。食品表示基準では、事業者が下記のような単位の中から、商品の特性に合わせて選択できることになっています。

100gあたり
重量で計量しやすい食品向け。日本食品標準成分表とも比較しやすい
100mLあたり
飲料など液体状の食品向け
1食分あたり
弁当など1包装で1食が完結する商品向け。基準となる量(g)の明記が必須
1包装あたり
個包装のお菓子など、内容量そのものを基準にしたい商品向け
その他の1単位
クッキー1枚あたりなど、消費者が実際の摂取量をイメージしやすい単位

どの単位を選んだ場合も、パッケージには必ずその基準となる量(gやmLなど)を明記する必要があります。「1食分」を採用する場合は、その1食分が何gに相当するのかの根拠を事業者側で説明できるようにしておくと安心です。


SECTION 04

小規模事業者の省略条件(従業員数など)

小規模事業者 栄養成分 省略について、消費者庁のガイドラインでは、次のいずれかに該当する事業者が販売する食品は、栄養成分表示を省略できるとされています。

消費税法上の小規模事業者
消費税法において、消費税の納税義務が免除される事業者(いわゆる免税事業者)
中小企業基本法上の小規模企業者(製造業その他)
常時使用する従業員の数がおおむね20人以下
中小企業基本法上の小規模企業者(商業・サービス業)
常時使用する従業員の数が5人以下(商業は卸売業・小売業を指す)
⚠ 省略できないケースに要注意
容器包装に「たんぱく質」「ミネラル」「高たんぱく」など栄養成分に関する名称・表示をしている場合は、小規模事業者であっても栄養成分表示を省略できません。また、省略の可否は食品の所有権が誰から誰に移転するかで判断されるため、OEM製造や卸売を通じて別の事業者が消費者に販売する場合は、単純にこの規定を適用できないことがあります。

なお、これら以外にも、表示可能面積がおおむね30平方センチメートル以下の小さな容器包装や、酒類など、食品表示基準上、別の理由で栄養成分表示が省略できるケースがあります。自社の商品がどの区分に当てはまるかは、消費者庁の該当ガイドラインや管轄の保健所・消費生活センターに確認するのが確実です。


SECTION 05

数値の算出方法(成分表・分析機関)

表示する数値をどう求めるかについても、いくつかの方法が認められています。

  1. 1
    分析による方法第三者の分析機関に依頼し、実際に商品を検査して数値を求める方法です。食品表示基準に分析方法の定めがある場合を除き、方法そのものに特段の指定はありません。精度は高いものの、費用と日数がかかります。目安として基本5項目の分析だけで1万円台から、糖質やビタミン類まで含めたセットでは数万円〜十数万円規模になることもあり、結果が出るまで1〜3週間程度を見込んでおくと計画が立てやすくなります(機関により異なります)。
  2. 2
    計算による方法「日本食品標準成分表」などのデータベースの数値を使い、原材料ごとの配合量から計算して求める方法です。たとえばおにぎりであれば、米・具材・海苔・塩それぞれの分量に応じた成分値を合算して、1個あたりの熱量やたんぱく質量を算出します。コストを抑えたい小規模事業者は、まずこちらを検討する価値があります。
  3. 3
    推定値としての表示計算値が実際の分析値と一定の誤差(許容差の範囲)を超える可能性がある場合は、「推定値」であることを明記したうえで表示することも認められています。レシピが頻繁に変わる商品や、手作業でばらつきが出やすい商品ではこの表記を活用しましょう。

いずれの方法を選ぶ場合も、算出の根拠となる資料(配合表や分析結果など)は、後から確認できるように保管しておくことが望ましい対応です。

表示内容や省略の可否に迷ったら
表示単位や算出方法の判断に迷う場合は、消費者庁のガイドラインや管轄の窓口に確認のうえ進めましょう。表示内容が固まったら、次はパッケージへの落とし込みです。オリジナルシール工房では、栄養成分表示を含む食品ラベルを小ロットからご用意できます。

SECTION 06

記載例

実際のパッケージでは、次のような形式で表示します。見出しとして「栄養成分表示」の文字と、その対象となる単位を必ず併記し、その下に決められた順序で5項目を並べます。

栄養成分表示(1個当たり)
おにぎり(梅)の例
熱量
181kcal
たんぱく質
3.2g
脂質
0.5g
炭水化物
39.8g
食塩相当量
0.6g

数値の単位(g、mgなど)や小数点以下の桁数は商品によって調整しますが、消費者が一目で見比べやすいよう、表形式または箇条書きで整然と記載するのが基本です。食パンのように「100gあたり」の成分表データから1枚分に換算するケースなど、商品によって計算プロセスは異なるため、自社商品に近い記載例を参考にすると効率的です。


SECTION 07

よくあるミス

  • 表示順序を誤ってしまう
    熱量→たんぱく質→脂質→炭水化物→食塩相当量という決められた順番を守らず、任意項目を基本5項目の間に挟んでしまうケースが見られます。
  • ナトリウムをそのまま表示してしまう
    「食塩相当量」への換算を忘れ、ナトリウム量(mg)をそのまま記載してしまうと、基準に沿わない表示になります。
  • 強調表示があっても省略できると誤解している
    「高たんぱく」「低カロリー」などの強調表示をする場合、小規模事業者であっても栄養成分表示自体は原則どおり必要です。
  • 表示単位と内容量の記載が食い違っている
    「1食分」と表示しながら、その1食分が何gに相当するのか記載を忘れると、消費者が実際の摂取量を把握できません。
  • 計算の根拠資料を保管していない
    行政や取引先から確認があった際に算出根拠を提示できないと、表示の信頼性そのものが疑われてしまいます。

正しい表示を、
安心のラベルに

栄養成分表示を含む食品パッケージ用のラベル・シールを小ロットから作成できます。オリジナルシール工房なら必要な枚数だけ手軽にご用意可能です。

食品ラベルシールの商品一覧を見る

最短3営業日出荷(規格品の場合)


SUMMARY

まとめ

栄養成分表示は、食品表示法にもとづき、加工食品を販売するほぼすべての事業者に関わるルールです。必須5項目とその表示順序、自社商品に合った表示単位の選び方、そして小規模事業者に認められる省略条件を正しく理解しておくことが、余計な手戻りやトラブルを避ける近道になります。

数値の算出は、コストと精度のバランスを見ながら、分析機関への依頼と成分表を使った計算のどちらか、あるいは併用を検討するとよいでしょう。表示内容が固まったら、パッケージやラベルへの落とし込みも計画的に進めましょう。

あわせて読む 加工食品の一括表示の 書き方・記載項目を全解説
記事一覧に戻る